抄録
裸地あるいは畑地を含むいくつかの土壌の野外における二酸化炭素の発生速度Y (gCO2-C/m2/day) を調べた.すべての土壌において, Yは地温T (℃) に強く律速され, Tの上昇に対して対数的に増加した.しかし, Tが同じでもおのおのの土壌のYには大きな差があった.たとえばおのおのの土壌のTが22.5±0.5とほぼ同じでも, 府中市関東ロームの裸地におけるYの値が0.49であるのに対して近接地の林地のそれは2.83と約6倍の差があった.この差は, 土壌の含水量, 微生物数あるいは栄養塩類量の違いでは説明できなかった.
いっぽう, 土壌の水溶性有機物量C (mgC/kg乾土) には大きな差があり, たとえばTが18±2のとき, Cの測定値の最小は裸地の3, 最大は畑の89であった.Cの50までの増大とともに, Yは直線的に増加しY=0.022C+0.51が成立した.Cが50以上のときYは1.5~1.7の範囲にあった.
以上から, 土質あるいは人間の管理強度や植生の違いにもかかわらず, 土壌の二酸化炭素の発生速度は地温と水溶性有機物量の二つで決定されると考えた.