生物環境調節
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温度勾配をもつ低温処理による白菜花茎伸長の数式モデル
森 啓一郎江口 弘美松井 健
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1979 年 17 巻 3-4 号 p. 141-152

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抄録

植物の生育および分化に関与する環境要因の作用を量的に評価するために, 前報においてステップ降下による低温ならびに日長に作用される白菜花茎伸長の数式モデルを報告した.本報告においては温度勾配をもって降下させた低温の花茎伸長に対する効果を評価し, その評価関数を組み入れた数式モデルに発展させることを試みた.植物材料としては, 春播白菜「長岡交配耐病六十日」を用い播種後15日目 (2葉期) の幼苗を実験に供した.温度処理は異なる温度降下勾配および5℃に降下した後の異なる処理時間を設定した.その結果, 花茎伸長は温度降下勾配と低温 (5℃) の処理時間によって花茎の最終値および花茎伸長の立ち上りの遅れに明瞭な差異がみられた.
各処理条件における花茎長は低温処理終了からの経過日数を独立変数とするlogistic curve式に適合した.この式を1次遅れ式に近似させ, 花茎の最終値および立ち上りの遅れを1次遅れ式の漸近値および時定数とむだ時間の和として評価した.前報でステップ降下による低温効果の評価パラメータとしてlog10 (td+α) (tdは低温処理時間, αは定数) , log10T1/2td2 (△T=20℃-処理温度) が用いられうることが明らかになったが, ある勾配をもって降下させた低温の花茎伸長に対する効果は低温評価パラメータと同じ関数型のlog10 (tm+β) (tmは5℃になるまでの時間, βは定数) およびlog10T1/2tm2で評価された.
このモデルから, 勾配をもって降下する温度も低温の効果として加算的に作用するとともに, 一定低温 (5℃) の効果を相乗的な形で強めることがわかった.

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© 日本生物環境工学会
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