生物環境調節
Online ISSN : 2185-1018
Print ISSN : 0582-4087
ISSN-L : 0582-4087
単色光照射下におけるコムギ品種の葉身傾斜反応
木村 和義
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 18 巻 3 号 p. 71-77

詳細
抄録

稈長の異なるコムギ32品種を用い, 各種単色光照射下における第1葉の葉身傾斜角度を測定し, 葉鞘長, 葉身長および圃場栽培植物の稈長との関係について検討した.
1) 単色光, 白色光, または暗黒条件下で12日間育てたゴムギの第1葉の葉鞘および葉身の長さと, 圃場で収穫時に測定した稈長との間には, すべての場合に正の相関関係がみられた.
2) 青色光照射下においては, 全供試品種とも葉身傾斜が促進され, 100°前後の角度を示した.赤色光と白色光においては品種によって傾斜角度に差異がみられ, 稈が長くなるとともに傾斜角度も大きくなる傾向がみられた.すなわち葉身傾斜角度と葉鞘長, 葉身長および圃場植物の稈長との間には, 正の相関関係がみられた.とくに赤色光において高い相関がみられ, 傾斜角度と稈長との相関係数γ=0.863であった.緑色光と暗黒条件では全品種ともほとんど傾斜反応を示さなかった.
3) 赤色光照射条件において, 傾斜角度と稈長との関係は大きく2つのグループに分けることができた.すなわち, 稈長約100cm以下の品種では赤色光照射によって傾斜反応を示さず, 暗黒条件と同じであるが, 稈長約100cm以上の品種においては赤色光によって傾斜反応が促進され, 稈長と角度との間には正の相関がみられた.

著者関連情報
© 日本生物環境工学会
次の記事
feedback
Top