生物環境調節
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人工環境下におけるリンゴ幼木の栽培試験
卜蔵 建治浅田 武典
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1980 年 18 巻 3 号 p. 79-83

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抄録

リンゴの萠芽から果実の収穫までの全期間を再現性の高い人工環境下で生育させ, 各生育ステージで基本となる生理, 生態反応を研究する方法について検討した.
1) 他発休眠状態にある花芽が2~4個ついた穂木をマルバカイドウに割りつぎし小型樹を作りグロースチャンパーで生育させた.
2) 小型のリンゴの樹は高温のグロースチャンバー内では定植後2週間で開花した.受粉後3~4週間でジュンードロップに相当する現象により多数の果実を失った.
3) この時期に落下をまぬがれた果実はその後, 順調に肥大し, 「つがる」, 「ふじ」の着色, 糖度は自然条件下のものに近い値を示したが, 「ネロ-26」の着色は良くなかった.
4) 「ネロ-26」の着色については可視部以外の波長域の補光が必要と考えられる.
5) 本研究において設定されたグロースチャンバー内の温度条件は果実肥大および品質からみておおむね妥当な値と考えられたが, 初期の弱光, 高温については検討する必要がある.

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© 日本生物環境工学会
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