抄録
植物の重量生長を非破壊, 連続的に計測することは環境条件と植物生長との相互関係を研究するうえの基礎的技術と考えられる.このような観点から既報では片持はりセンサを用いて, 水耕栽培状態の植物の重量生長計測法について報告した.この方法は一個体の植物の生長計測法としては植物の姿勢変化の影響を受けないなどの長所を有しているが, 群落規模での重量生長を問題とする場合には計測チャネルの数が増加し, 計測管理が複雑化するなどの欠点を有していた.本研究では試料植物を群落状態で載荷板上に栽培し, それらの植物と載荷板の重量とを同時に載荷板を支持する4個の重量センサの出力の和として計測するシステムを開発した.このシステムを用いて, 水耕栽培におけるシュンギクの重量生長を35日間非破壊, 連続的に計測する実験を試みた.実験終了後, 試料シュンギクを刈り取って秤量した結果と開発したシステムによる計測値との誤差はシュンギク群落重量の約1.5%であった.