生物環境調節
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種々の街路樹のオゾン取込み速度
藤沼 康実古川 昭雄戸塚 績田崎 忠良
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1987 年 25 巻 2 号 p. 31-39

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抄録
鉢植えの街路樹9種 (Aucuba japonica, Cinnamomum camphora, Daphniphyllum macropodum, Ginkgo biloba, Hedera rhombea, Ligustrum japonicum, Pasania edulis, Prunus yedoensis, Quercus acutissima, Rhodendron oomurasaki, Zelkova serrata) に種々の濃度のオゾンを処理して, オゾン取込み速度の植物種間差を調べた.光合成, 蒸散速度, 気孔密度についても調べた.今回調査した街路樹の中で, ある種は処理したオゾン濃度とオゾン取込み速度との間に直接関係があったが, 他の種ではオゾン取込み速度がオゾン濃度の上昇に伴って飽和する傾向にあった.気層拡散コンダクタンスをオゾン取込み速度と同時に測定した蒸散速度と葉温から求めた結果, 飽和型のオゾン取込み速度は気孔が閉鎖するために起こった現象であることが推察された.オゾン濃度の上昇に伴ってオゾン取込み速度が直線的に増加する種の取込み速度は以下のような順になった.
P. yedoensis=H. rhombea>Q. acutissima≧Z. serrata>C. camphora=D. macropodum≫G. biloba>R. japonicum
このオゾン取込み速度の順位と気孔密度の大小の順位とは異なっていた.種々の植物の単位濃度あたりのオゾン取込み速度と気層拡散コンダクタンスとの間には直線関係が見られた.以上の結果は, オゾン取込み速度の植物種間差は, 気孔密度の大小によるのではなく, 気層拡散コンダクタンスの大小によることを示唆するものである.すなわち, 気層拡散コンダクタンスは, もっぱら気孔コンダクタンスによって決定されているので, オゾン取込み速度の植物種間差は気孔コンダクタンスの種間差によるものと思われる.
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© 日本生物環境工学会
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