抄録
異なる培養液濃度の培地でトマト, ナス生おびピーマンを水耕栽培し, 生育, 溢泌速度ならびに溢泌液中の無機成分濃度に及ぼす影響を調べた.
トマト, ナス, ピーマンともに標準培養液下でいずれも生育がよく, 培養液濃度がうすくても高くてもいずれも生育が抑制されたが, トマト, ナス, ピーマンの順に抑制程度が著しくなった.同じような傾向は溢泌速度にも認められた.
溢泌速度の高いトマトは溢泌液中の無機成分がナス, ピーマンより著しくうすく, 培養液濃度の増加による溢泌速度低下とともに無機成分濃度は増加した.この傾向はナス, ピーマンでも認められた.しかし石灰は他成分と異なり, 培養液濃度の高まりとともに溢泌液中の濃度が低下し, とくにトマトではその低下が著しかった.ナスでは硝酸態窒素, 石灰, マンガン, ピーマンではリン, カリ, マグネシウム, 鉄, 銅および亜鉛濃度がそれぞれ高くなる傾向がみられた.