抄録
ミヤコワスレ『高性濃紫色種』のアボーション発生に及ぼす花芽発達段階と温度との関係を明らかにするために二つの実験を行った.
箱植えした株を昼温を25, 30および35℃に, 夜温は一律に5℃に設定した自然光型ファイトトロン内で2月10日から3月9日までの4週間栽培し, アボーション発生率を調査した.その結果, ブラインド型, 管状花ネクロシス型, 管状花一部ネクロシス型の各アボーションは, 30℃以上の高温で多発した.
花芽がいろいろな発達段階に達した株を33/28℃ (昼/夜) の自然光型ファイトトロン内で開花まで栽培し, アボーションの発生率を調査した.ブラインド型は, 総包形成期から花弁形成後期にかけての高温処理により発生したが, とくに総包形成期から花弁形成中期における発生率が著しく高かった.管状花ネクロシス型は, 花弁形成後期から完成期にかけて発生した.管状花一部ネクロシス型は, 花弁形成後期から出らい期にかけて発生し, とくに花弁完成期に著しく発生した.
本研究の遂行にあたり, ご指導を賜った東京農業大学農学部教授樋口春三博士に厚くお礼を申し上げます.また, 論文のとりまとめにあたり, ご助言とこ校閲をいただいた静岡大学農学部教授石田明博士ならびに同助教授糠谷明博士に深謝の意を表します.