生物環境調節
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レッドチコリー結球葉のアントシアニン生成と糖含量に及ぼす環境要因の影響
夫 喜玉富高 弥一平市村 匡史木村 正典
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1997 年 35 巻 2 号 p. 91-98

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抄録

本実験はレッドチコリー結球葉のアントシアニン生成に及ぼす環境要因を明らかにする目的で, 温度, 光の影響と糖含量との関係について調べたものである.
1.温度処理による生育は, 20/15℃区で最も旺盛で, 次いで25/20℃区, 15/10℃区と続き, 30/25℃区では生育が顕著に劣る傾向を示した.アントシアニン生成は, 15/10℃の低温下で最も良好で, 次いで20/15℃, 25/20℃, 30/25℃の順となり, 特に30/25℃の高温下では著しく抑制された.なお糖含量においても15/10℃の低温区で最も多く, 温度の高いほど少なくなり, アントシアニン生成と同じ傾向を示し, 両者の間に相互関係があるものと考えられた.
2.光量との関係をみると, 生育は20/15℃の340μmolm-2s-1区で最も旺盛で, 光量の少ない区ほど生育は劣った.アントシアニン生成も, 光量の少なくなるにつれて低下した.特に, 80μmol m-2s-1以下の光量区では, 15/10℃の低温下でもアントシアニン生成が著しく減少する傾向を示した.また, 糖含量は, 15/10℃, 20/15℃, 25/20℃区では光量の低下するにつれて減少する傾向を示し, アントシアニン含量と同じ傾向であったが, 30/25℃の高温下では光量の低い区で糖含量が増加した.
3.紫外線の影響をみると, いずれの温度条件でも紫外線処理による生育への影響は小さく, レッドチコリーの生育に対する紫外線の影響は認められなかった.アントシアニン生成に対しては, いずれの温度条件下でも紫外線透過区でアントシアニン生成が助長され, 紫外線カット区で抑制された.特に, 15/10℃及び20/15℃の低温下で紫外線の効果が明らかであった.糖含量もすべての温度で紫外線透過区で高く, 紫外線カット区で低かった.しかし, 紫外線カットによってアントシアン生成は著しく抑制されたが, 糖含量に対してはそれほどの大きな影響はみられなかった.

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© 日本生物環境工学会
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