生物環境調節
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処理液のpHおよび生育ステージの違いがレタスおよび葉ネギ葉部の外生アスコルビン酸含量に及ぼす影響
井上 興一大森 有美子近藤 悟横田 弘司
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1997 年 35 巻 4 号 p. 253-259

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抄録

アスコルビン酸を豊富に含む葉菜類の生産を目的として, レタス (品種: レッドファイヤー) およびネギ (品種: 博多黒ねぎ) の根をpHの異なるL-アスコルビン酸の単一溶液 (1500mgL-1) に12時間浸漬し, 葉部のアスコルビン酸含量の増加程度を検討した.この処理は, 温度27℃, 湿度45~55%, PPFD380μmol m-2 s-1に設定した人工気象室で行った.処理液のpHが低下するほど葉部アスコルビン酸含量は増加した.最もpHの低い処理区 (pH3.1) の葉部アスコルビン酸含量は, レタスで初期値の26±8mg (新鮮重100gあたり, 以下同じ) から191±21mgに, ネギでは34±8mgから183±17mgに, それぞれ増加した.レタスの場合, 処理時の生育ステージが遅くなるほど根の吸水能が低下し, 同時に葉部アスコルビン酸含量の増加率も低下した.以上から, レタスおよびネギは処理液のpHが低いとアスコルビン酸をよく吸収することが認められた.また, レタスでは処理時の生育ステージが早いほど, アスコルビン酸を葉部に高濃度に集積することが示された.

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