生物環境調節
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シイタケの菌糸生育, 子実体形成および菌糸体成分に及ぼす接種菌保存の影響
寺下 隆夫平田 彩子吉川 賢太郎獅山 慈孝
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1997 年 35 巻 4 号 p. 283-292

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抄録

冷蔵庫や室温での接種菌の短期間 (15~200日) の保存が, シイタケ菌の菌糸生育や子実体の形成, 菌糸中の化学成分および酵素活性に及ぼす影響を検討した.その結果, 本実験の範囲 (4℃, 200日; 15℃, 160日; 24℃, 60日) では菌糸生育および子実体収量の低下は認められなかった.4℃および15℃での50~100日の保存はむしろ菌糸生育を促進した.これらの傾向は供試3菌株に共通であった.子実体収量は接種菌を15℃で30日間保存すると対照の1.4倍に増加した.しかし, 低温 (4℃, 15℃) での接種菌の保存は異常子実体の発生を増加させ, 正常な子実体発生には24℃の保存が良好であった.保存後に培養した菌糸中の糖質含量は約半分に減少した.しかし, 蛋白質および遊離アミノ酸含量には変化がなかった.また, 菌糸保存後に培養した菌糸中のアミラーゼ, β-1, 3-グルカナーゼおよびトレハラーゼ活性は菌糸の保存によって著しく低下したが, プロティナーゼ活性は低下しなかった.

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© 日本生物環境工学会
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