生物環境調節
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中国天津市周辺の半乾燥地域における野菜畑土壌の特性
周 芸敏吉田 徹志小倉 寛典馬 俊栄福元 康文
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1998 年 36 巻 4 号 p. 239-244

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抄録
天津市を中心とする半乾燥地域の野菜栽培畑と穀類畑土壌特性を比較検討した.野菜畑は穀類畑と比較して, 作土層が厚く, 理化学性の改善と熟畑化がみられるが, これらは有機物の施用効果が大きいことが考えられた.野菜畑土壌の有機物, 窒素, リン酸が栽培年数の増加とともに集積傾向がみられた.いずれの圃場も表層土の含有率が高く, 下層ほど低下する傾向がみられたが, 栽培年数の増加に伴い, 可給態リン酸の下層への集積が顕著であった.また, 本地域の野菜畑土壌は, 栽培年数の影響は小さいが, 交換性Ca, Mg, Naが高く, Kは比較的低いことからCa/K, Mg/K当量比が日本の畑土壌と比較して顕著に高く, これら成分のアンバランスが栽培条件によっては生育に影響を及ぼすことも考えられた.野菜畑土壌に生存する微生物は栽培年数が長いほど多く, 細菌は各地点とも比較的安定して生息した.また, 糸状菌は細菌に比べて極めて少なく, 放線菌は糸状菌と同等か, やや上回る程度であった.その結果, いずれも細菌/糸状菌比は高い値を示し, 細菌主導型土壌であることが確認された.土壌の糸状菌生存許容環境を調査した結果, 腐生能や栄養源を質的, 量的に異にする3種の糸状菌の各土壌への住み着きは, 栽培年数と対応がみられ, 表層で高く, 土壌養分の差異に応じて住み着いた.以上の結果, 天津市周辺野菜畑土壌の理化学的環境の改善などにより, 微生物相の改善が促進され, 土壌をより熟畑化させることができると推察された.
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© 日本生物環境工学会
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