生物環境調節
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電気分解水によるイネいもち病防除の検討
玉置 雅彦近藤 悟酒井 泰文
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2001 年 39 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

強酸性水および強アルカリ性水によるイネいもち病防除効果を明らかにするために, いもち病菌の胞子発芽抑制効果, 発病抑制効果および病害拡大抑制効果について検討した.強酸性水および強アルカリ性水で調製した胞子懸濁液の胞子発芽率は, 蒸留水で調製した胞子懸濁液の胞子発芽率よりも有意に低かった.また, いもち病感染前に強酸性水および強アルカリ性水を散布することにより発病は抑制された.しかし, 強酸性水および強アルカリ性水の発病抑制効果は農薬の抑制効果ほどではなかった.また, いもち病感染後に強酸性水および強アルカリ性水を散布しても発病程度は減少しないことから, 強酸性水および強アルカリ性水の病害拡大抑制効果は低いものと判断された.いもち病菌の胞子発芽抑制効果, 発病抑制効果ならびに病害拡大抑制効果には, 強酸性水と強アルカリ性水の間で大きな差異はなかった.
以上のことから, 強酸性水および強アルカリ性水は, イネいもち病に対して発病抑制効果を有するが本病に対する病害拡大抑制効果は低いこと, また, 農薬に比べて効果は低いことが示唆された.

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