生物環境調節
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内分泌撹乱候補物質の一つであるビスフェノールAのイネ幼苗による吸収, 転送, 代謝
ヌレディン M.イマデディン古本 敏夫山岸 美貴石田 豊福井 宏至
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2004 年 42 巻 1 号 p. 31-40

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抄録
イネ幼苗は内分泌撹乱作用物質と考えられるビスフェノールA (BPA) を速やかに吸収し, 水質を浄化した.BPA添加養液で栽培したイネ幼苗を経時的に収穫し, エタノール洗浄による根表面, メタノール抽出による根と地上部 (茎葉部) に存在するBPAをHPLCで定量したところ, BPAは根より吸収され, 地上部に転送されることが判明した.植物体からBPAの回収率が低かったので, 重水素化したBPAを吸収させ, 根と地上部に存在する代謝物を2H-NMR測定で検索した.BPAに換算して, メタノールで抽出できる代謝物量は投与量の約5%, 酸あるいはアルカリによる加水分解で遊離する代謝物量は約25%で, 残り (約70%) は, 上述の加水分解条件では遊離しない重合体あるいは植物体との結合を形成すると判断された.可溶化した代謝物の2H-NMR分析から, 吸収されたビスフェノールAの一部は酸化あるいは炭素骨格の変換等によって代謝されると推定された.
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