2010 年 23 巻 1 号 p. 97-103
過去11年間に1次治療として手術を施行した耳下腺癌33例について生存率ならびに生存率に影響を与えた因子について検討した. 組織分類では低悪性度癌が12例, 高悪性度癌が21例であった (2005年WHO分類). 3年年生存率は低悪性度癌群で100%であったのに対し, 高悪性度癌群では78%と有意に低い結果であった. Stage IV症例, 病理組織学的分類で高悪性度癌症例, 術前リンパ節転移や術前顔面神経麻痺を認めた症例では生存率が有意に低い結果であった. また, 以下の術前臨床所見のうち, 45歳以上, 男性, 術前顔面神経麻痺あり, 術前リンパ節転移ありは, 低悪性度癌群に比して, 高悪性度癌群症例に有意に多くみられ, 術前に高悪性度癌を示唆する危険因子になると思われた.