2017 年 20 巻 1 号 p. 25-32
河川環境評価において河道の時空間的な動態の把握は必須であり,現地調査による計測が行われている.近年,衛星画像解析の高度化に伴い,現地調査に対し補完的に広域の簡易的な環境評価が出来る可能性が示唆されている.そこで本研究では,空間分解能 10 m の陸域観測技術衛星「だいち」で得られる画像を用いて,相模川の低地部河道を対象に,河道の時空間的変化(土地被覆および流路形状変化)の推定およびマッピングを行い,その手法の有効性を評価した.結果として,植生,砂礫,水域の空間分布および 1 ~2 年間隔でのその変化や,流路における川岸や砂州,堰の周辺にて砂礫の移動をモニタリングできることを示した.なお,今回使用した衛星画像とその幾何補正では,横断方向に約 10 m の不整合が生じたことから,それより大きなスケールの横断方向の地形変化を解析する上での本手法の有効性が明らかになった.以上から,日本の主要河川を対象とする場合,本手法は流路長 10 km を超える広域区画を対象とした河道形状変化の時系列評価に有効である可能性が示唆された.