応用生態工学
Online ISSN : 1882-5974
Print ISSN : 1344-3755
ISSN-L : 1344-3755
事例研究
全周魚眼スマートフォンカメラを用いた水生生物の遠隔モニタリング
藤本 泰文山田 浩之倉谷 忠禎嶋田 哲郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 21 巻 2 号 p. 171-179

詳細
抄録

スマートフォンを用いた水生生物の簡便なモニタリングシステムの開発に取り組んだ.スマートフォンに 180 度全周魚眼レンズ取り付けて防水ハウジングに格納し,水中からの無線通信を可能とする同軸ケーブルを取り付けた.スマートフォンにインターバル撮影と自動アップロード可能なアプリケーションをインストールし,先の同軸ケーブルと陸上に設置した WiFi ルータを経由してインターネットに接続した.このシステムにより,インターネットを通じた撮影予約,インターネット環境下での撮影間隔の指定等の遠隔操作や,撮影画像の自動入手が可能となった.伊豆沼・内沼周辺に位置する 3 つの池で試験したところ,魚類 6 種,他 3 種の合計 9 種の水生生物が撮影された.ゼニタナゴの産卵管やアメリカザリガニなどの体色も撮影され,水生生物の繁殖形質の把握や環境 DNA 分析の検証に着目した遠隔モニタリング調査など,今後さまざまな場所での活用が期待される.

著者関連情報
© 2019 応用生態工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top