応用生態工学
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事例研究
環境 DNA 分析による江の川支流のアユ生息場としての評価
宮園 誠二児玉 貴央赤松 良久中尾 遼平齋藤 稔辻 冴月
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2021 年 24 巻 2 号 p. 259-266

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抄録

本研究は一級河川江の川の土師ダム下流区間を対象にし,環境 DNA 分析を用いて本流,および支流のアユの生息状況を評価し,アユ生息場としての支流の機能を評価した.続いて,江の川支流におけるアユの環境 DNA 濃度と環境要因との関係から,アユが支流を利用するために必要な環境条件を検討した.本研究の結果から,用水路型の支流よりも自然河川型の支流のほうがアユの生息場として機能している可能性があることが明らかとなった.また,2019 年の夏季においては,支流の流量が大きくなるほどアユの生息密度が増加する可能性が示された.今後は,大規模河川の支流において,本研究で検討されなかった環境要因のアユへの影響を検討する必要がある.そして,利水の観点から流量を相対的に多く確保できる支流を中心に,アユの好む河床材料や夏季の水温上昇を抑える河岸植生の保全を意識した川づくりを進めていくべきであろう.

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© 2021 応用生態工学会
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