応用生態工学
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生態学的視点による河川の自然復元:生態的循環と連続性について
谷田 一三
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1999 年 2 巻 1 号 p. 37-45

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抄録
河川の自然復元についての生態的視点として,河川における有機物,栄養塩,エネルギーの生態的循環(スパイラリング)を確保することが重要で,そのためには豊かな生物群集の保全が肝要であることを指摘した.また,上流と下流,周辺と河川,河床内間隙の亜表流水と表流水における連続性の確保が重要であることも指摘した.また,河川生態系における滞留時間を延ばす生物的な貯留装置として,底生動物群集,バイオフィルム(生物被膜),河川周辺植生,落葉堆積が重要な機能を持つことを示した.物理的な貯留装置としては,河川の周辺部に形成されるワンドやタマリが重要な働きを持つことを指摘した.回遊性魚類や遡上習性をもつ水生昆虫類は,下流,あるいは海洋から上流への栄養塩などの回帰に重要な役割を果たすことを概説した.
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