応用生態工学
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夏季の長良川河口堰下流部の貧酸素水塊の発達と解消
村上 哲生服部 典子藤森 俊雄西條 八束
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2001 年 4 巻 1 号 p. 73-80

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抄録

溶存酸素濃度,及びクロロフィルa濃度,塩分の連続観測記録の解析により,長良川河口堰下流における夏の底層酸素不足の原因を三つのカテゴリーに分類することができた.第一の事例は,多量の浮遊藻類が発生した時期の夜間の酸素消費によるものであり,第二のそれは,大潮時の伊勢湾からの貧酸素水塊の溯上に起因するものであった.第三の事例は,小潮時に塩分成層が強化されることにより鉛直混合が妨げられるためであり,堰の運用後,この最後の事例が深刻な酸素不足をしばしば引き起こした.この型の酸素不足は,小潮の数日後に始まり,次の大潮または出水まで続いた.堰運用後に酸素不足が観測された延べ時間の増加と河口に構築物を欠く木曽川の酸素状態との比較から判断すれば,酸素不足に及ぼす小潮時の効果は,堰構築により強められた可能性が大きい.

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