ワシントン大学の研究グループは2020年に医学雑誌Lancet に発表した論文で,2064 年に世界人口は97 億3000 万人でピークを迎え,その後は減少へ転換するとした。ホモ・サピエンス登場から30 万年,永く続いてきた人類の膨張が終わりにさしかかっている。人口増加を前提につくられた社会経済システムの限界が明らかになり,新たな社会のデザインが問われている。本稿は,人類社会が人口減少・縮小社会へ転換することが,サステナビリティ研究にとって何を意味し,どのような転換への「備え」が必要なのかを論じる。特に,人口減少緩和政策としての人口政策についてフランスと日本の事例を論じ,人口減少適応政策を形成することの難しさをシルバー民主主義論に注目して考察する。