「人口減少」と「サステナビリティ」という二つのテーマを,両者の関係性を意識しながら論じることは,新たな思考の枠組みを必要とするチャレンジングな問いと言える。 なぜなら,従来の「サステナビリティ」に関する議論では,主たる問題となるのは「人口増加」をめぐる諸課題であったが,現在のいわゆる先進工業化諸国においては,濃淡の違いはあるものの人口は定常化ないし減少局面に入っており,いわば社会の存続に関する“逆”の意味での「サステナビリティ」の問題が浮上するからである。本稿ではこうした関心を踏まえ,特に人類史的な視点および「定常経済/ 定常型社会」を軸にしながら,人口減少社会とサステナビリティをめぐるテーマを幅広い視点から考えてみたい。