栄養学雑誌
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管理栄養士養成大学における災害時の栄養にかかわる公衆栄養学及び給食経営管理論教育についての全国調査
須藤 紀子吉池 信男
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2012 年 70 巻 3 号 p. 188-196

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抄録

【目的】災害時の食生活支援は,管理栄養士に求められる役割の一つである。養成施設における卒前教育においても,災害時の栄養に関する教育をおこなうことが望まれるが,どの程度実施されているのかは不明である。災害時の栄養にかかわる教育の現状や,教育を実施するうえでの障害等を調査することを目的とした。
【方法】2011年(平成23年)7月に,全国の管理栄養士養成施設(四年制大学)117校の公衆栄養学と給食経営管理論担当教員を対象に,郵送法による質問紙調査を実施した。
【結果】回収率は68.4%であった。平成22年度あるいはそれ以前の授業で,災害時の食生活支援(公衆栄養学)や給食管理(給食経営管理論)について,講義や臨地実習の中で扱っていたのは,公衆栄養学担当教員の48.8%,給食経営管理論担当教員の89.7%であった。東日本大震災後の平成23年度以降,シラバスに組み入れるか,何らかの対応をすると回答していたのは,公衆栄養学担当教員の80.5%,給食経営管理論担当教員の94.9%であった。被災,災害支援,調査研究,講演やシンポジウムの聴講経験がいずれもないと教育をおこなわない傾向がみられた。
【結論】 教育の実施状況や今後の実施予定には,科目や教員の経験によって差がみられた。教員の自信やスキルのなさ,よい教材がないなどの問題を解消する必要がある。

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© 2012 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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