栄養学雑誌
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長期的な体重増加がある非肥満者の食習慣
─特定健康診査における標準的な質問票を用いた検討─
鈴木 亜紀子吹越 悠子赤松 利恵
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2013 年 71 巻 5 号 p. 282-289

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抄録

【目的】非肥満者の生活習慣病予防のために,長期的な体重増加があると回答した非肥満者の食習慣を検討する。
【方法】2009年度,特定健康診査を実施し,自記式の標準的な質問票に回答したA健康保険組合員の被保険者または被扶養者3,342人(男性1,614人,女性1,728人)の横断的データを用いた。性別,年齢の他,標準的な質問票に含まれている食習慣(6項目),長期的な体重増加(1項目)を用いた。Body mass index(BMI)25 kg/m2 を基準に肥満群と非肥満群の2群に分け,肥満群と非肥満群のそれぞれで,体重増加の有無を従属変数とした単変量と多変量解析によるロジスティック回帰分析を行い,食習慣との関連を検討した。
【結果】全体の肥満群は694人(20.8%),非肥満群は2,648人(79.2%)であり,20歳時からの体重増加がある者は,2,228人(66.7%),ない者は1,114人(33.3%)であった。体重増加がある者の48.9%が非肥満であった。体重増加に関連する食習慣は,非肥満群の男性では,夜食(オッズ比(OR)=2.18,95%信頼区間(95%CI)=1.37~3.46)であり,女性では遅い夕食(OR=1.69,95%CI=1.12~2.58)であった。肥満群は男女とも,遅い夕食(男性:OR=2.24,95%CI=1.24~4.08;女性:OR=3.26,95%CI=1.51~7.05)であった。
【結論】現在,非肥満者であっても,長期的な体重増加があると回答した者は,現在の食習慣が望ましくない者であった。具体的には,非肥満者の男性では夜食,女性では遅い夕食が,長期的な体重増加に関連していた。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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