栄養学雑誌
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大阪府寝屋川市の高齢者施設職員を対象とした食事・栄養に関する意識調査
太田 淳子桒原 晶子関 桃代岡島 理奈田中 清
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2015 年 73 巻 1 号 p. 28-40

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抄録

【目的】高齢者施設における栄養ケア・マネジメントでは,関連職種から効率良く情報を得る必要がある。今後,管理栄養士が関連職種の持つ情報を得て活用するために,まず関連職種が食事や栄養にどのような意識を持っているかを明らかにすることを目的とした。
【方法】高齢者施設職員135名に自己記入式質問紙調査を行った。食事や栄養に関する認識についての問い(11項目,5段階回答)は,職種,経験年数,調査施設での勤務年数で比較した。栄養と管理栄養士に関する問い(3項目,自由記述)はテキストマイニングの手法を用いて職種別に分析した。
【結果】食事や栄養に管理栄養士の関わりは重要であるという認識は高いが,一般食のエネルギー量でさえ「知らない」と回答した者は少なくなかった。自由記述回答をテキストマイニングにより分析すると,看護師は医学面,介護職員は生活面,管理職は経営面から食事や栄養を捉えていた。食事は重要な栄養ケアの一つであるが,調理職員の認識は給食業務に偏っており,栄養に対する認識は低かった。
【結論】高齢者施設職員は食事や栄養の重要性は理解していたが提供食の具体的な認識は低く,職種により違いが見られた。今後,高齢者福祉分野で管理栄養士が十分に役割を果たすためには,関連職種が食事と栄養に関する認識を十分に持つとともに,管理栄養士は必要とする情報内容を積極的に発信し,提供された情報を栄養ケアに活かすことが重要である。

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© 2015 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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