2020 年 78 巻 1 号 p. 5-12
【目的】家庭での共食の推進と地場産物の活用を目指した食育の効果を評価することを目的とした。
【方法】研究デザインはクラスター割付比較対照試験とし,保護者の回答により評価した。2011年7月,京都府宮津市の幼稚園2園と保育所2所を,介入群と比較群に1園1所ずつ割り付け,両群の3~5歳児236人の保護者に,食育前後に無記名自記式調査を行った。食育前調査は属性,身体特性,食習慣,アカモクの利用に関する計8項目,食育後調査は身体特性を除く計4項目である。栄養教育として,介入群では,幼児にはアカモクに関する授業とアカモク料理の給食提供を実施し,保護者にはリーフレットを配布した。その後,情報提供として,両群の保護者に,地場産物を取り入れた,主食,主菜,副菜の揃った献立を配布した。解析対象は食育前158人(介入87,比較71)(66.9%),食育後181人(介入104,比較77)(76.7%)であった。
【結果】食育前の両群は全ての項目に有意差はなかった。食育後,介入群で夕食の共食摂取頻度(p=0.042)とアカモクの認知度(p=0.007)が有意に上昇し,アカモクへの食意欲が上昇傾向(p=0.055)にあった。比較群では,全ての項目に有意な変化はなかった。
【結論】地場産物を活用した食育を保護者の回答により評価したところ,夕食共食摂取頻度が上昇し,地場産物の認知を高める可能性が示唆された。