2023 年 81 巻 5 号 p. 193-201
【目的】Epicurean eating(美食家の食の楽しみ)尺度の日本語版の作成に向け,妥当性と信頼性を検討すること。
【方法】2021年9月,東京都在住の20~64歳勤労者1,000人を対象に,インターネット調査を行った。Epicurean eating尺度は計13項目7件法でたずねた。天井効果,床効果による項目選定後,主成分分析を行った。信頼性はクロンバックα係数と再検査法,妥当性は属性や咀嚼習慣などの食生活の項目を用いて検討した。
【結果】項目選定と主成分分析の結果,「美食家志向」は7項目,「スーパーサイズ嗜好」は4項目となった。再検査法による信頼性の検討では,「美食家志向」「スーパーサイズ嗜好」ともに良好な値が得られたが,クロンバックα係数による検討では,「スーパーサイズ嗜好」の値がやや低かった。妥当性では属性や咀嚼習慣などで妥当な結果が得られ,女性で「美食家志向」得点が高かった(p<0.001)。「美食家志向」得点と「スーパーサイズ嗜好」得点には負の相関(ρ=-0.16,p<0.001)がみられた。
【結論】2成分11項目からなるEpicurean eating尺度の日本語版を作成した。下位尺度「美食家志向」は,信頼性と妥当性を有することを確認した。「スーパーサイズ嗜好」もある程度の信頼性と妥当性を有していたが,日本人に適した項目作成や尺度のニーズの検討の必要性も示唆された。