栄養学雑誌
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変敗油の調理に及ぼす影響について (第15報)
油揚げ時の葉緑素の存在とビタミンC分解防止に関する研究
梶本 五郎賀島 千鶴子大井 恵子
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1961 年 19 巻 6 号 p. 227-229

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抄録

1. クロロフィル0.01, 0.05, 0.1%ずつを各大豆油に添加し, 抗酸化作用をみたが, いずれの添加量に於いても抗酸化作用がなかつた。
2. クロロフィルを添加し, 10分, 30分, 60分間, 170℃で加熱し, その後抗酸化作用を調べたが, いずれも抗酸化作用を有し, なかでも加熱時間の長い程, その効果を示した。
3. クロロフィル添加大豆油及び菜種油で, たまねぎを170℃, 3分間で揚げ, 揚げたまねぎ中のビタミンC分解率を比較したが, クロロフィル添加油の方が, ビタミンCの分解少なく, しかも揚げの回数が増しても同様であつた。
4. たまねぎ, 大根, 馬鈴薯, ほうれん草, 人参を170℃, 3分間油揚げを行いビタミンCの分解率をみたがほうれん草, 人参が最も少なく, たまねぎ, 大根, 馬鈴薯は分解が大きい。即ちクロロフィル, カロチン等の色素を比較的多く含有する野菜程ビタミンCは安定である事がわかる。

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