栄養学雑誌
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黄粉利用による味噌製造方法の簡易化について
徳安 泰子
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1967 年 25 巻 4 号 p. 132-137

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抄録

自家製味噌を醸造する際に, 多量の大豆を処理するのに相当の設備, 手間を要するが, これらの軽減をはかる一方法として, 主として「黄粉」を用いて味噌の醸造を行なった。
すなわち, 大豆の処理方法をかえ「煮大豆区 (対照区)」,「黄粉区」,「煮大豆+黄粉区」,「圧扁・蒸煮大豆区」の4試験区を設けた。原料の仕込み配合割合はいずれも同じくした。
その熟成期間中における各成分 (水分, 塩分, 還元糖, 全窒素, アミノ態窒素含量, pH値) の変動の測定および感覚試験を併せ行なうことにより, 各試験区相互間の差異を比較しつつその熟成度を検討した。
その結果, 対照区の煮大豆を用いた味噌が最も熟成も速く, 美味に感じられたが, 大豆処理法を異にする他の試験区も, その熟成期間が進行するにつれて (約90日経過), その成分分析の結果および感覚試験の結果よりみて, 対照区との差異は殆んど認められなかった。
黄粉特有の色沢および香味も熟成後は殆んど認められず, 黄粉を用いた味噌が好みに合わなかったのは, テストした限りでは3%余に過ぎなかった。
その点, 各人の嗜好の問題が少しは残るであろうが, これを問題にしないならば, 煮大豆のかわりに黄粉を用いることによって味噌醸造が簡易化され, また大豆蛋白質の仕込み配合量を増すことをも期待し得ることがわかった。

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