栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
日本における栄養調査 (第4報)
青年・中年・母性を対象とした調査にみられる内容について
熊沢 昭子後藤 桂葉石川 昌子大野 知子服部 イク中野 典子磯部 しづ子
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 41 巻 3 号 p. 167-184

詳細
抄録

1940~1975年にいたる35年間に, 青年・中年・母性を対象として行われた栄養調査文献114報を用いて, 経年的に文献の出現数, 調査の主題, 同時調査項目および栄養素・食品群別摂取量などについて, まとめた結果は次のとおりである。
1) 本調査対象のうち, 文献数の多かったのは中年であり, また, 性別区分では男子対象の調査であった。
2) 調査の主題については男子が職業分類からみたもの, 女子は農山村婦人の, また母性では妊婦, 授乳婦の調査が多くみられた。
3) 同時調査項目は極めて多く, かつ多岐にわたっていた。そのうち, 臨床検査を伴う項目は, 全栄調査よりも特栄調査で行われていることが多かった。また, 男子では生理・生化学的項目が, 女子では生活時間や食行動などの面から取り上げられた項目が多いことが特徴としてあげられる。
4) 栄養素摂取量の分布は, 各労作, 職業などにより多様化しており, やや重い労作ではエネルギー, たん白質, 脂肪の摂取は高いが, 無機質, ビタミン類は他の労作と大差はなかった。
5) 食品群別摂取量の記載された文献は少ないが, このうち, 緑黄色野菜については共通して低い摂取傾向にあった。
6) 文献の報告者により指摘された不足栄養素は第2報, 第3報と同様の傾向であり, VAが不足していることが最も多くあげられており, 次いで, Ca, VB2, VB1, VCの順であり, いずれも微量栄養素であった。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
前の記事 次の記事
feedback
Top