栄養学雑誌
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日本における栄養調査 (第5報)
高齢者を対象とした調査にみられる内容について
石川 昌子後藤 桂葉熊沢 昭子大野 知子服部 イク中野 典子磯部 しづ子
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1983 年 41 巻 3 号 p. 185-192

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抄録

高齢者が増加している現状において, 高齢者を対象とした栄養調査文献を収集, 整理しておくことは, 対象の健康維持のうえから食生活のあり方を考えるための基礎資料となるものと考える。また前報に続き, ライフステージとしての記録の意味をもつ。したがって, これらの文献26報について集成し, 次のような結果を得た。
1) 高齢者対象の栄養調査は全栄調査が多く, ほとんどが男女共通に調査されていた。
2) 調査主題では実態把握を目的とする調査が多かった。
3) 同時調査の項目は極あて多く, 全栄調査では生活環境や食生活の諸条件に関する項目がみられ, 特栄調査では生理, 生化学的検査項目が多種類にわたってあげられていた。
4) 栄養素摂取量については, 都市高齢者より農村高齢者がたん白質, Ca, VA, VB1, VB2, VCの値が低いほうに分布している傾向がみられた。一方, 施設居住高齢者の報告は都市高齢者と農村高齢者の中間程度に分布している報告が多くみられた。
5) 食品群別摂取量の年次推移による変動はあまりみられなかった。
6) 栄養調査文献の報告者が述べている高齢者の不足栄養素は, Ca, VA, VB1, VB2などであった。

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