栄養学雑誌
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便秘と食物摂取状況及び食生活に対する意識との関連性
大矢 靖子米田 泰子
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1995 年 53 巻 6 号 p. 385-394

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抄録

本研究の目的は, 食物摂取状況に加え, 心理的・文化的要因として食生活に対する価値観や指向性, 生活習慣, 社会的ネットワークづくりなどを取り上げ, 排便状況との関連性を調べた。対象は, ノートルダム女子大学の学生 (134人), 母親 (85人), 京都周辺大学の男子学生 (85人) とし, アンケート調査を行った。また結果は, 女子, 男子, 母親の3グループ間での比較と, 排便回数では1回/日群, 1回/2日群, 1回/3~4日群の3群に分類し, 比較を行った。
結果は以下のとおりである。
1) 排便回数を比較すると, 1回/3~4日群が最も多かったのは女子で, 次いで母親, 男子の順であった。
2) 排便状況については, 全体的に排便回数の少ない者ほど排便時に不快感を伴い, 母親の排便回数が少ない者については, 排便時刻が不規則である傾向がみられた。
3) 食事バランス得点が高かったのは女子で, 次いで母親, 男子の順であった。また, 女子と母親に関しては, 排便回数の少ない者ほど食事バランス得点, 便通によいといわれている食物摂取状況の悪い傾向がみられた。
4) 排便回数別に比較した食生活に対する価値観及び指向性については, 健康関心度は1回/日群の便通状況のよい者ほど高く, 間食指向度, 嗜好強度については1回/3~4日群の便通状況の悪い者ほど高い傾向がみられた。
5) 排便回数別に比較した生活習慣得点は, 女子と男子において1回/日群ほど高かった。
6) 社会的ネットワーク得点は, 男子が最も高く, 次いで母親, 女子の順であった。また, 排便回数別では, ほとんど差がみられなかった。

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