栄養学雑誌
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学校給食献立表による30年間の給与脂質及び脂肪酸構成の変化
鳴坂 美和子
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1996 年 54 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

岡山市某小学校の学校給食献立表を用いて, 30年間にわたる脂質給与量の推移を検討した。1960年から1990年までの学校給食献立表 (各年130献立表) の脂質給与量の推移は次のようであった。
1) エネルギー給与量は, 1960年から1975年まで増加し, 以後1985年まで減少し, 1990年はわずかに増加した。
2) 総脂質量, 脂肪酸総量, 飽和脂肪酸, 一価不飽和脂肪酸, 多価不飽和脂肪酸, リノール酸, n-6系脂肪酸は1960年から1975年まで増加し, 以後1990年にかけて減少した。α-リノレン酸は, 1970年まで増加し, 以後減少した。エイコサペンタエン酸, ドコサヘキサエン酸は, 1970年まで減少し, 以後増加した。n-3系脂肪酸は, 大きな変動はみられなかった。P/S比は, 1960年の1.9±1.3から1990年の0.5±0.1へと減少した。n-6/n-3比率は, 1960年から1965年にかけて増加し, 以後横這いのまま1990年に至った。飽和脂肪酸: 一価不飽和脂肪酸: 多価不飽和脂肪酸の脂肪酸構成比率では, 1960年の1: 2: 1.9から1965年の1: 1.2: 0.5へ変化し, 1990年の1: 0.9: 2へと変化した。動物: 植物: 魚類由来の脂質構成比率では, 1960年から1975年までは植物由来が最も多かったが, 1980年から1990年までは動物由来が最も多くなった。アラキドン酸, コレステロールは1960年から1990年まで年ごとに増加した。
3) 30年間の脂質給与量の変化の大きかった年は, 1960年から1965年と1985年から1990年であり, 食品群別脂質給与量では穀類, 乳類, 油脂類, 獣鳥鯨肉類由来の脂質が推移に大きく関わっていた。

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