栄養学雑誌
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糖尿病患者における食品のエネルギー見積もり能力
相田 理恵渡辺 早苗穴倉 弘枝佐藤 智英西村 薫子
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1996 年 54 巻 2 号 p. 97-108

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抄録

糖尿病患者が食品から摂取エネルギーをどのように見積もっているかを評価するため, 1, 533人の糖尿病外来患者に食品や料理の見積もり調査を行った。食事指導に対する実践能力を推測するに当たっては, 見積もり指数 (EI) を用いた。更にEIと患者の臨床成績との関連について検討した。
1) 過小見積もり食品は全体の約40%, 過大見積もり食品は約30%で, 前者は主食類, 後者は脂質を多く含む食品や果物であった。
2) 性別の見積もり能力は, 女性のほうが少なく見積もる傾向にあった。
3) 年齢別では, 高年層が見積もり誤差が大きかった。
4) 治療法別では, 薬物療法群が他の療法に比べ見積もり誤差が大きかった。
5) 肥満度別では, 肥満度120%以上の群が約半数の食品を過小に見積もっていた。
6) 糖尿病食品交換表の分類においては, 交換表表1 (穀類といも類) と外食は過小に見積もられ, 交換表表2 (果物類) と交換表表5 (油脂) は過大に見積もられた。
本研究を遂行するに当たり, 朝日生命糖尿病研究所羽倉稜子副所長並びに栄養科の方々, ご協力いただいた外来患者の皆様に厚く御礼申し上げます。

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