栄養学雑誌
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人間ドックの高コレステロール血症者への栄養指導の効果
中沢 敦子西村 伸治東 あかね小笹 晃太郎林 恭平渡辺 能行青池 晟川井 啓市池田 順子
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1996 年 54 巻 3 号 p. 173-182

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抄録

高コレステロール血症と栄養指導の効果について検討するため, 対象者の指導後の血清脂質について調査した。
京都市内の一病院人間ドックで, 血清総コレステロール250mg/dl以上300mg/dl未満であった者のうち, 栄養指導を受けた指導群124人と栄養指導を受けなかった対照群123人, 合計247人を対象とした。指導群は重点指導群55人と軽指導群69人に分けた。
1) 指導群の食事記録提出率は男性12%, 女性48%, これを提出しなかった者に行った食生活簡易アンケートの回答率は男性27%, 女性20%, 指導後3か月, 6か月の再検勧奨に応じたのは男女ともに5割弱と, 栄養指導のコンプライアンスが低かった。
2) 1年後の血清総コレステロールは, 指導群男性265mg/dlが239mg/dlに, 指導群女性268mg/dlが243mg/dlに, 対照群男性266mg/dlが241mg/dlに, 対照群女性267mg/dlが239mg/dlにと, 指導群及び対照群の男女ともに有意な (p<0.01) 低下を認めたが, 中性脂肪, HDL-コレステロールについてはいずれの群も変化を認めなかった。指導群と対照群間の比較では, 男女とも指導前と指導1年後の総コレステロール低下の程度に有意差は認められなかった。
3) 血清総コレステロールの変化の増減により比較すると, 指導群の増加者が対照群より少なかったのは, 女性のみであった。
4) 当人間ドック受診者及び他検査機関の血清総コレステロールが250mg/dl以上300mg/dl未満であった者の比率が研究調査期間中に減少しており, 血清総コレステロールの変化に関して栄養指導以外の要因の影響が考えられた。

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