栄養学雑誌
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高齢女性への骨粗鬆症とカルシウム摂取に関する栄養教育の試み
高カルシウム弁当を用いた栄養教育の評価
岡崎 光子上遠野 早苗城戸 我夜子奥 恒行
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1997 年 55 巻 5 号 p. 273-282

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抄録

比較的QOLの高い高齢女性を対象に, カルシウム摂取量を増加させるための栄養教育プログラムに沿い, 栄養教室を月1回, 1年間開催し, その栄養教育効果の有無を検討した。結果は次のとおりであった。
1) カルシウム摂取量: 栄養教育終了時 (12か月後) では, 開始時と比べて有意に増加した (p<0.001)。増加した給源食品は, 乳・乳製品及び海藻類であった (p<0.05, p<0.001)。
2) 骨塩量: 各年代とも経時的な変化はみられず, 栄養教育開始時の状態を維持していた。70及び80歳代の骨塩量は, 60歳代よりも有意に低かった。
3) 栄養教育内容の関心及び実践の状態: 栄養教育前半のテーマで取り上げた乳・乳製品, 野菜類, 豆・豆製品, 海藻類, 魚類を, 栄養教育前半終了時 (6か月後) において “意識して食べている” との回答は78%以上であった。更に, 栄養教育後半終了後 (12か月後) においても, “小魚, 牛乳を多く摂取している” との回答が多かった。
以上により, 高カルシウム弁当の供食を伴い, 栄養教育プログラムに沿った栄養教育は, 効果があったものと考える。

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