2021 年 16 巻 2 号 p. 201-218
本稿では,中山間地域における生活支援ニーズと,社会福祉協議会による地域福祉活動の特徴を明らかにした.高知県いの町吾北地区では,生活支援ニーズが存在するにもかかわらず,市町村合併を背景として,見守りが必要な在宅生活を支援するための人材が不足している.この問題に対して,行政の事業を受託した社会福祉協議会は町内出身者を中心とする人材を確保して,送迎付きの集いを実施し,介護保険や共助によってカバーされない生活支援ニーズに対応していた.サービス利用者への聞取り調査によると,利用者同士の会話や行事といった活動自体に楽しみを見出すととともに,サービス利用の合間や送迎途中における小売店や金融機関,医療機関へのアクセスの確保が,重要な生活支援の機能として指摘された.