本稿の目的は,日本において地域の医療サービスに関して分析・検討・見通しを行う際,地域の面積・広がりについても考慮すべきことを提起することである.各医療機関からのバッファ距離別の人口を求め,それを地域人口数で割った値を人口カバー率とした.人口カバー率が相対的に低いところでは総じて単位面積当たりの医療機関数も少ない.人口カバー率は単位人口当たりの医療機関数よりも,単位面積当たりのそれとにおいて相関がより強いため,単位面積当たりの値に注目することは重要である.単に人口密度だけに注目するだけでも十分意義がある.単位面積当たり医療機関数と人口密度との間には強い相関があるためである.