2026 年 21 巻 1 号 p. 190-199
本研究は,2025年7月30日に発生したカムチャツカ半島付近の巨大地震での北海道釧路市における津波避難を事例に,津波警報の発表に伴う住民の避難行動と自治体の対応の実態把握と課題の整理を行った.まず,地震発生後の釧路市役所の情報発信や避難場所開設などの対応状況を確認したところ,今回の地震に伴う避難行動および自治体対応の課題として,想定より多くの避難場所を開設しなければならなくなったことや,Lアラートによる避難指示の発令に時間を要したことなどが判明した.次に,住民の避難行動を地図上で可視化した結果,津波警報で想定される浸水域を大きく超える範囲で避難行動がみられたことが確認できた.適切な避難行動を促すための解決策として,GISを活用した防災教育によって住民の防災に関する空間的認識を涵養することや,防災関係システムの改良などにより行政の防災担当職員が災害対応に専念できる体制を構築することが考えられる.