2009 年 3 巻 2 号 p. 2_17-32
本稿は,日本地理学会地理教育専門委員会において筆者らが中心となって行っているインタビューから得られた知見をまとめたものである.インタビューでは,大学等で地理学を学び,教育界以外で活躍している社会人を対象とし,地理学および地理教育の意義等を質問した.彼らによれば,地理は,大変魅力的な教科であり学問であるばかりでなく,実社会でも役に立つという.とりわけ,地図活用能力とフィールドワーク力が実社会でも極めて重要であることが指摘された.地理教育の内容に関しては,最低限の地理的知識を身につけさせることを前提としながらも,社会に対する見方・考え方を身につけさせることを期待している.今後は,こうした地理教育への社会的要請を基盤としながら,地理教育の内容や方法について検討していくことが求められる.