学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
原著
小児における半固形化栄養剤の臨床的有用性と胃排出能の検討
矢本 真也福本 弘二鈴木 恭子八木 佳子井原 摂子渡邉 誠司
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2019 年 1 巻 3 号 p. 134-139

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抄録

【目的】経管栄養を行なう児の問題点として,胃食道逆流症,ダンピング症候群,胃瘻漏れ,下痢などの合併症管理に難渋する点が挙げられる.その対策の一つとして,投与栄養剤の半固形化あるいは半固形化栄養剤の使用が注目されている.今回,胃瘻から注入する栄養剤の半固形化による合併症改善効果と胃からの排出能について検討した.

【対象および方法】2014年7月から2016年6月までに,当院にてラコールNF®配合経腸用半固形剤(以下,半固形製剤と略)を使用した53例を対象とし,効果について後方視的に検討した.うち17例で,液体経腸栄養剤と半固形製剤における胃排出能について消化管シンチグラフィーを用いて比較検討した.

【結果】ダンピング症候群16例中13例(81%)で症状が消失し,胃食道逆流症10例中8例(80%)で逆流が消失し,胃瘻漏れ1例(100%)では漏れが見られなくなった.消化管シンチグラフィーを行なった17例のhalf empty timeは,液体経腸栄養剤使用時の中央値30分に比して半固形製剤では60分となり,有意に延長した.

【結論】半固形製剤は早期胃排出を緩徐にすることで,ダンピング症候群の予防となり,かつ粘稠度が高いことと胃内残渣が減少することで胃食道逆流を軽減する効果が認められた.

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© 2019 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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