2020 年 2 巻 1 号 p. 2-8
【目的】地域包括ケア病棟入棟患者の匂いの検査を行い,在宅復帰を目指した患者の栄養管理に役立つか検討した.【方法】患者25名を対象として,5-2法で匂いの検査を行った.総点数を中央値で分類し,0~2点を低値群,3~5点を高値群として,栄養状態(geriatric nutritional risk index;以下,GNRIと略),口腔内状態(oral health assessment tool 日本語版;以下,OHAT-Jと略),日常生活動作(Barthel index;以下,BIと略),認知機能(mini mental state examination Japanese;以下,MMSE-Jと略)のスコアを比較した.【結果】低値群と高値群の比較では,年齢(p<0.001),GNRI(p=0.005)に有意差が認められた.OHAT-J(p=0.063)は低値群で高く,BI(p=0.062),MMSE-J(p=0.091)は低値群で低い傾向が認められた.匂いの感度が低下していた患者は,舌と口腔清掃の不良が高率に認められ,口腔状態悪化と関連している可能性がある.【結論】匂い検査を含む多角的な評価の実施は,高齢患者に対する栄養治療計画の一助となり,栄養介入に役立つ.