学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
2 巻 , 1 号
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目次
原著
  • 永井 徹, 高橋 忍, 吉田 可奈子, 坂井 邦彦
    2020 年 2 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    【目的】地域包括ケア病棟入棟患者の匂いの検査を行い,在宅復帰を目指した患者の栄養管理に役立つか検討した.【方法】患者25名を対象として,5-2法で匂いの検査を行った.総点数を中央値で分類し,0~2点を低値群,3~5点を高値群として,栄養状態(geriatric nutritional risk index;以下,GNRIと略),口腔内状態(oral health assessment tool 日本語版;以下,OHAT-Jと略),日常生活動作(Barthel index;以下,BIと略),認知機能(mini mental state examination Japanese;以下,MMSE-Jと略)のスコアを比較した.【結果】低値群と高値群の比較では,年齢(p<0.001),GNRI(p=0.005)に有意差が認められた.OHAT-J(p=0.063)は低値群で高く,BI(p=0.062),MMSE-J(p=0.091)は低値群で低い傾向が認められた.匂いの感度が低下していた患者は,舌と口腔清掃の不良が高率に認められ,口腔状態悪化と関連している可能性がある.【結論】匂い検査を含む多角的な評価の実施は,高齢患者に対する栄養治療計画の一助となり,栄養介入に役立つ.

  • 石川 侑, 黄金崎 愛美, 島田 真由美, 山久 智加, 山田 裕之, 野田 啓美, 木下 美佐子, 星川 竜彦
    2020 年 2 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    【目的】施行中の経管栄養の妥当性の評価を目的として排便スケールの見直しを行い,それらを考察した.【方法】WhelanらのKing’s stool chart(以下,KSCと略)をベースに,スタッフや患者により適したものに改変(modified King’s stool chart;以下,MKSCと略)した.次に栄養サポートチーム(nutrition support team; 以下,NSTと略)が介入し,経管栄養を施行した患者47名のMKSC値と下痢のリスク因子を解析した.【結果】多変量解析よりMKSC値の増加因子として低アルブミン血症が関与していることが示唆された.またNST介入終了時の下痢改善可否は介入期間における最高MKSC値と関連することが示唆された.【結論】経管栄養管理においてMKSCによる排便評価は下痢の改善予測の指標としての有用性が示唆された.

  • 田積 匡平, 松山 美和, 小林 靖, 長尾 恭史, 西嶋 久美子
    2020 年 2 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    【目的】パーキンソニズム患者における肺炎発症後の経口摂取に関わる臨床的特徴について検討した.【方法】対象は肺炎で内科へ入院したパーキンソニズム患者136例とした.患者を経口群と非経口群に分類し,各種臨床項目を比較検討した.入院初期の重度嚥下障害患者の臨床経過についても調査をした.【結果】多変量解析の結果,退院時の経口摂取に関わる独立した項目は「入院初期の摂食嚥下障害重症度」と「入院前の日常生活自立度」であった.入院初期の重度嚥下障害患者に対して比較的早期から摂食嚥下リハビリテーションを開始していたが,神経内科医の入院中の関わりが少なく,全体でもパーキンソニズムの治療は約半数の患者にしか行われていなかった.【結論】一部のパーキンソニズム患者の摂食嚥下障害にはリハビリテーションに加えて投薬調整が重要とされており,今後は神経内科医と連携をして経口摂取の再獲得を目指す必要があると示唆された.

  • 松井 亮太, 稲木 紀幸, 金子 真美, 濱口 優子, 安井 典子, 浅野 昭道
    2020 年 2 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では切除不能悪性腫瘍に対する胃空腸バイパス術後の食事摂取不良因子の検討を目的とした.

    【方法】2007年4月から2016年3月までに当院で悪性腫瘍による通過障害に対し,胃空腸バイパス術が施行された40例を対象とした.食事摂取不良群と食事摂取良好群に分け,各因子との関連性についてロジスティック回帰分析を行った.p<0.05を有意差ありと判定した.【結果】40例の内訳は胃がん35例,膵がん5例だった.このうち8例(20.0%)が食事摂取不良と判定された.食事摂食不良に関わる因子を検討したところ,単変量解析では生存期間75日以内(p=0.004),好中球・リンパ球比(neutrophil/lymphocyte ratio;以下NLRと略)6以上(p=0.020),controlling nutritional status 3以上(p=0.037)で有意差を認めた.多変量解析では生存期間75日以内(OR:28.8,95%CI:1.53-541.0)で有意差を認め,NLR 6以上(OR:14.6,95%CI:0.87-247.0)で傾向を認めた.【結語】胃空腸バイパス術後の食事摂取不良に関わる術前予測因子として,NLRの測定が簡便かつ有用であると考えられた.

  • 四十物 由香, 鴨志田 敏郎, 小川 竜徳, 阿部 春果, 鈴木 俊一, 鈴木 薫子, 齋藤 祥子, 青山 芳文
    2020 年 2 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    【目的】ポリファーマシーの実態と薬剤がアルブミン値(以下,Alb値と略)に与える影響を明らかにする.【対象および方法】2018年4月2日~7月27日に持参薬を確認した患者のうち,総服用薬剤数6剤以上の患者割合を算出した.これらの患者背景と総服用薬剤数を調べ,特に食欲低下をきたすことが知られる代表的な12薬効群とAlb値の関係を検討した.【結果】ポリファーマシー患者は578/1,892名(30.5%)であり,総服用薬剤数とAlb値に相関は認められなかった(r=-0.125,p=0.003).オッズ比は,総服用薬剤数1.105倍,女性0.398倍,降圧剤0.572倍,オピオイド4.067倍,抗認知症薬8.874倍であった.【結論】総服用薬剤数とAlb値に明らかな相関は認められなかった.また,Alb値の低下に影響を与える因子は,総服用薬剤数,男性,オピオイド,抗認知症薬であった.

症例報告
  • 曽野 弘士, 池田 春美, 平野 憲二, 貝田 英二, 前田 滋
    2020 年 2 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    【症例】64歳,男性.主訴:眩暈,既往歴:胃がん(14年前),現病歴:耳鳴りと眩暈にて中枢性平衡障害として治療するも改善せず来院した.現症:不安定歩行を認め,意識障害や眼球運動障害はなかった.脳MRIで第3,4脳室周囲に高信号を指摘されウェルニッケ脳症(Wernicke’s encephalopathy;以下,WEと略)と診断された.しかし,血中ビタミンB1(以下,VB1と略)値は正常であった.経過:VB1の点滴により症状は軽減した.内服に移行すると再燃したため点滴を延長したところ再び寛解した.その後も徐々に間隔を空けて継続中であり,症状の再燃なく脳MRI所見も改善した.VB1負荷試験ではビタミン利用障害が疑われた.【考察】本症例はビタミン利用障害による「相対的なVB1不足」が潜在し,胃切除に伴う吸収障害を併発したことで発症したと推察された.典型的な症状や検査結果が揃わなくとも,WEを疑う場合には早期にVB1の静脈内投与を行うことが重要である.

  • 原田 愛倫子, 船水 尚武, 石山 哲
    2020 年 2 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    症例は81歳の男性.食事の際につかえ感を主訴に前医を受診し,精査加療のため当科を紹介受診となった.上部消化管内視鏡検査で噴門部胃がんを認め,胃全摘および腸瘻造設術を施行した.術後2日目から腸瘻より経腸栄養を開始したところ,翌日にショック状態に陥り,多臓器不全を伴う播種性血管内凝固症候群(disseminated intervascular coagulation;以下,DICと略)となった.原因検索の胸腹部造影CTで門脈ガスおよび腸管気腫を認めた.DICおよび多臓器不全に対してDIC治療,血液透析を含む全身管理を行い,発症後7日目で改善が得られた.DIC発症後8日目のフォローアップCTで門脈ガスは消失したものの門脈血栓を認めた.そのため抗凝固療法を行い,DIC発症後27日目には門脈血栓が消失した.経腸栄養に伴う門脈ガス血症は稀な合併症であり,文献的考察を加えて報告する.

  • 関 仁誌, 山田 明子, 春原 ゆかり, 近藤 奈美, 駒津 睦子, 小林 香, 町田 典子, 倉澤 寛美, 柴草 裕, 小林 宏正
    2020 年 2 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    症例は60歳代男性で,約18年前に胃上部の早期胃がんの診断で噴門側胃切除空腸パウチ間置術が施行された.2018年1月,嘔気嘔吐が続き栄養状態が悪化したため入院となった.間置空腸パウチの減圧など保存的な治療を行ったが改善しなかったため間置空腸パウチ機能不全による栄養障害と診断し,手術適応として周術期栄養管理を栄養サポートチーム(NST)に依頼した.必要エネルギー量を1,600kcalに設定し,経腸栄養と静脈栄養を併用する方針とした.W-ED®チューブ(日本コヴィディエン)を留置し,2週間術前栄養療法を行ったところ栄養状態は改善し,良好な状態で手術に臨むことができた.残胃と間置空腸パウチを切除しRoux-en-Yにて再建した.術後第2病日より経腸栄養療法を開始,第4病日から流動食を開始した.第10病日には全粥の摂取が可能となり栄養療法を終了した.術後経過は良好で第14病日退院となった.退院後は良好な栄養状態が維持できている.

  • 松井 亮太, 高 礼子, 苗代 時穂, 的場 加代子, 柳澤 優希, 井出 浩希, 金沢 一恵
    2020 年 2 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    症例は60歳代男性,ADL全介助.自宅では全粥ペースト食を摂取していたが摂取に30分以上を要し,家族が飲み込みの悪さを感じていた.来院1日前に喀痰増加を認め,翌日に食後の意識障害が出現したため当院内科を受診.誤嚥性肺炎の診断で同日入院となった.意識障害があり,絶食で点滴抗生剤加療を開始.加療後は意識障害が改善し,入院後7日目に端座位で改訂水飲みテストを実施し,判定4で全粥ペースト食を開始した.食事摂取に30分以上を要しており,退院前に口腔期障害への介入が必要と判断し,入院後42日目に0°仰臥位で改訂水飲みテストを実施.判定4だったため同体位で食事摂取を開始したところ,摂取時間は15分と短縮を認めた.入院後60日目に端座位で改訂水飲みテストを再検.判定4で,前回と比較し嚥下反射までの時間は短縮を認めた.以降は座位での摂取時間は15分程度であった.一時的な0°仰臥位での食事摂取で摂取時間が短縮した症例を報告する.

施設近況報告
  • 松井 亮太, 柳澤 優希, 井出 浩希, 金沢 一恵, 野口 晃, 坂下 宗祥, 坂井 健大
    2020 年 2 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    近年,日常診療における摂食嚥下診療の需要が増している.石川県の能登地区では言語聴覚士が不在の地域中核病院が存在し,摂食嚥下機能の評価や治療に地域間格差が存在している.そこで,能登地区を中心とする摂食嚥下診療の標準化を目指し,言語聴覚士が不在の施設を対象とした摂食嚥下回診を2013年8月から月1回の頻度,無償ボランティアで開始した.回診には多職種が参加し,食事を摂取している人には実際の食事風景を観察しながら介入方法を提示し,食事を摂取していない人には改訂水飲みテストおよびフードテストを実施して嚥下機能評価を行った.1回の回診の介入者は平均4名であり,1施設での摂食嚥下回診は施設従業員のスキルアップを判断して約1年で終了とし,その後はメーリングリストを活用した連絡でフォローを行った.プロトコールを用いた嚥下機能評価のみならず,即座に食べることに重きを置いた嚥下回診は今までにも例がなく,報告した.

  • 中澤 悠里, 近石 壮登, 森田 達, 小牧 令典, 谷口 裕重
    2020 年 2 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/13
    ジャーナル フリー

    【諸言】従来から医科歯科連携の重要性が謳われているが,いまだ不十分な点も多い.病院歯科は多職種と連携をし,入院患者の感染予防や「食」への対応が必要とされる.我々は,歯科標榜のない地域中核病院に歯科・口腔外科(以下,当科と略)を開設した.設立の経緯,活動状況,今後の課題と展望を報告する.【設立の経緯および活動】当科は,口腔由来の感染予防と,安全な「食」を提供する目的で開設された.感染予防の徹底,口腔衛生管理の評価および手技統一の目的で病院内に口腔衛生管理委員会を設立した.同時に「食」に対しては,摂食嚥下リハビリテーション充実のため摂食嚥下チームを設立した.以前は重篤な摂食嚥下障害患者のみが対象だったが,摂食嚥下チーム介入により幅広く対応が可能となった.【課題および展望】今後は,歯科介入が入院患者の全身状態維持向上へ寄与するための取り組みが必要である.そのためには,歯科が中心となり,より多くの知識を病院全体へ発信することが期待される.

用語解説
編集後記
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