学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
原著
切除不能悪性腫瘍に対する胃空腸バイパス術後の食事摂取不良因子の検討
松井 亮太稲木 紀幸金子 真美濱口 優子安井 典子浅野 昭道
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2020 年 2 巻 1 号 p. 26-32

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抄録

【目的】本研究では切除不能悪性腫瘍に対する胃空腸バイパス術後の食事摂取不良因子の検討を目的とした.

【方法】2007年4月から2016年3月までに当院で悪性腫瘍による通過障害に対し,胃空腸バイパス術が施行された40例を対象とした.食事摂取不良群と食事摂取良好群に分け,各因子との関連性についてロジスティック回帰分析を行った.p<0.05を有意差ありと判定した.【結果】40例の内訳は胃がん35例,膵がん5例だった.このうち8例(20.0%)が食事摂取不良と判定された.食事摂食不良に関わる因子を検討したところ,単変量解析では生存期間75日以内(p=0.004),好中球・リンパ球比(neutrophil/lymphocyte ratio;以下NLRと略)6以上(p=0.020),controlling nutritional status 3以上(p=0.037)で有意差を認めた.多変量解析では生存期間75日以内(OR:28.8,95%CI:1.53-541.0)で有意差を認め,NLR 6以上(OR:14.6,95%CI:0.87-247.0)で傾向を認めた.【結語】胃空腸バイパス術後の食事摂取不良に関わる術前予測因子として,NLRの測定が簡便かつ有用であると考えられた.

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© 2020 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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