学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
症例報告
噴門側胃切除後間置空腸パウチ機能不全に対し再手術と周術期栄養管理に工夫を要した1例
関 仁誌山田 明子春原 ゆかり近藤 奈美駒津 睦子小林 香町田 典子倉澤 寛美柴草 裕小林 宏正
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2020 年 2 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

症例は60歳代男性で,約18年前に胃上部の早期胃がんの診断で噴門側胃切除空腸パウチ間置術が施行された.2018年1月,嘔気嘔吐が続き栄養状態が悪化したため入院となった.間置空腸パウチの減圧など保存的な治療を行ったが改善しなかったため間置空腸パウチ機能不全による栄養障害と診断し,手術適応として周術期栄養管理を栄養サポートチーム(NST)に依頼した.必要エネルギー量を1,600kcalに設定し,経腸栄養と静脈栄養を併用する方針とした.W-ED®チューブ(日本コヴィディエン)を留置し,2週間術前栄養療法を行ったところ栄養状態は改善し,良好な状態で手術に臨むことができた.残胃と間置空腸パウチを切除しRoux-en-Yにて再建した.術後第2病日より経腸栄養療法を開始,第4病日から流動食を開始した.第10病日には全粥の摂取が可能となり栄養療法を終了した.術後経過は良好で第14病日退院となった.退院後は良好な栄養状態が維持できている.

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© 2020 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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