2021 年 3 巻 1 号 p. 2-10
【目的】2006年にヨーロッパで始まったnutritionDayであるが,2012年よりがん患者に特化した調査も行われている.今回,2015年から2017年のnational reportをもとに本邦および世界のがん患者の現況について報告する.【対象】日本から748例,世界から4,630例のがん患者が登録されており,平均年齢はそれぞれ71.3歳,65.4歳,BMIについては21.6,24.1となっていた.【結果】終末期の入院患者の割合が,日本の13.4%に対して世界では4.8%であった.栄養療法についてみると,静脈栄養がおこなわれていたのは日本で18.0%であったが,世界では10.9%しかなかった.逆に経口栄養補助食品の摂取については,日本では3.9%しかなかったのに対し,世界では14.4%であった.【結論】本邦のがん患者の現状を客観的に評価し,今後の栄養療法の改善に向けた基礎資料となる.