2021 年 3 巻 1 号 p. 20-27
【目的】ポリファーマシーの実態と薬剤が血清アルブミン(以下,Albと略)値に与える影響を明らかにする.【対象および方法】2018年9月3日から2019年8月30日に持参薬を確認した患者のうち総服用薬剤数6剤以上の患者割合を算出した.これらの患者背景と総服用薬剤数を調べ,食欲低下をきたすことが知られる代表的な12薬効群とAlb値の関係を検討した.【結果】ポリファーマシー患者は1,532/3,749名(40.9%)であり,総服用薬剤数とAlb値に相関は認められなかった(r=-0.083,p=0.001).Alb値3.5 g/dL未満のオッズ比は,75歳以上1.421倍,主観的包括的評価(subjective global assesment;以下,SGAと略)の重症度が上がる毎に2.407倍,NSAIDs 0.656倍,ステロイド2.381倍,抗がん剤0.454倍,鉄剤2.398倍,オピオイド鎮痛剤2.178倍であった.【結論】総薬剤数とAlb値に相関は認められなかった.Alb低値に影響を与える因子は,75歳以上,SGA中等度以上の栄養障害,ステロイド,鉄剤,オピオイド鎮痛剤であった.