学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
臨床経験
療養病床に入院する経腸栄養患者における基礎代謝量の実測値と推定値の乖離とその影響因子について
三橋 直樹國見 友恵髙﨑 美幸鈴木 龍太中村 健太郎芦田 欣也三宅 理江子
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2021 年 3 巻 3 号 p. 175-182

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抄録

【目的】療養病床の経腸栄養患者における基礎代謝実測値と推定値の乖離,および基礎代謝量に影響を与える因子を解析した.【対象および方法】対象は療養病床の経腸栄養患者31名.基礎代謝の実測は間接熱量計を用い,信頼性の高い実測値が得られた20名のデータを採用し,実測値と推定値の差,遷延性意識障害の有無による実測値の差,および実測値と年齢・身体組成(身長・体重・除脂肪体重)の相関を解析した.【結果】実測値は18.0kcal/kg/日,推定値は23.3kcal/kg/日であり,実測値が有意に低かった(p<0.01).また,「遷延性意識障害あり」の実測値は13.6kcal/kg/日,「遷延性意識障害なし」の実測値は19.5kcal/kg/日であり「遷延性意識障害あり」が有意に低かった(p<0.01).実測値と年齢・身体組成においては有意な相関はなかった.【結論】対象の基礎代謝は推定値との乖離が大きく,脳の損傷を考慮する必要がある.

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© 2021 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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