学会誌JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
原著
Proton pump inhibitor(PPI)使用患者に対する経腸栄養剤の種類が腸内細菌叢へ及ぼす影響の違い―急性期脳卒中患者を対象とした前向き観察研究―
高橋 治城西水流 香菜瀧口 麻衣吉永 裕助上野 朋子
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2021 年 3 巻 5 号 p. 281-290

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抄録

要旨:【目的】Proton pump inhibitor(以下,PPI と略)を使用した急性期脳卒中患者において,アミノ酸源が低分子ペプチドであり,食物繊維としてペクチンを含有する経腸栄養剤(以下,HE と略)とアミノ酸源がたんぱく質であり,食物繊維としてグアーガム分解物を含有する経腸栄養剤(以下,PF と略)が腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した.【対象および方法】脳卒中後 2 週間に経腸栄養と PPI 投与を行う患者を対象とした前向き観察研究を行った.26 例を HE 群と PF 群の 2 群に分け,観察前後で T-RFLP 解析による腸内細菌叢と糞便理化学分析を比較した.【結果】観察後両群でClostridium cluster Ⅺが有意に減少した.便 pH は HE 群で PF 群よりも低下する傾向がみられた.【結論】急性期脳卒中患者において食物繊維が配合された経腸栄養剤を使用することで,PPIを併用していたとしてもClostoridioides difficile 感染症のリスクが抑制される可能性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会
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