電気泳動
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総合論文
クリオグロブリンの解析―付加価値のある検査コメントを目指して―
井本 真由美山田 俊幸中江 健市上硲 俊法
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2017 年 61 巻 2 号 p. 79-83

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抄録

温度依存性蛋白とは,反応温度により性状が変化する異常蛋白で,主として免疫グロブリンである.特に臨床検査室でよく遭遇するクリオグロブリンは,室温以下で白濁し,37°Cで再溶解する免疫グロブリンであり,免疫化学的検査において異常反応を起こすことがある.臨床的には,原因不明のレイノー現象,紫斑性血管炎,動静脈炎,腎症および原因不明の過粘稠症候群に関連する.クリオグロブリンには3つの型があり,I型:M蛋白からなる,II型:M蛋白とポリクローナル免疫グロブリンの混合型,III型:ポリクローナル免疫グロブリンからなる.II型でも明瞭なM蛋白が観察されない場合や,免疫グロブリン値が基準値内である場合はIII型と同様に異常に気付きにくい.しかしM蛋白の量は微量でも患者に重篤な症状を引き起こすことも確認されている.今回,著者らが遭遇した微量IgM型M蛋白とポリクロ―ナルIgGからなる混合型クリオグロブリン血症の解析例を提示し,臨床検査室からクリオグロブリンの型判定の解析を通して,付加価値のあるコメントを付けることの有用性について考えてみる.

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© 2017 日本電気泳動学会
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